聖マリアンナ医科大学 神経精神科学教室
MENU

児童思春期精神医学研究班 child

研究班の概要

小野、安藤、島内の3人の児童精神科医と、戸部医師、塚原、根本の臨床心理士、そしてケースワーカーの臼井でこの分野の臨床と研究、教育を遂行しています。2023年4月に新設された子どものこころセンターを中心に、外来、病棟、関連病院群を有機的に運用し、多様な症例に対応するシステムを構築しつつあります。児童班ミーティングを月に1回、児童思春期ユニットカンファレンスを週1回、子どものこころセンターミーティングを2か月に1回行っています。医局の若手教育向けに毎月教育動画を配信しています。また日本児童青年精神医学会、国際児童青年精神医学会などで毎年発表を行っています。まだまだ、人手が少なく、新たにこの分野に興味があり、子どものこころ専門医を目指す方をいつも心待ちにしている状況です。

 

私たちが目指しているもの

 我々は児童思春期臨床に従来と異なる新たな風をもたらしたいという志のもとに臨床・研究を遂行しています。従来から運用してきた児童思春期外来に加え、2023年1月から児童思春期ユニットを加え、外来と入院の全体に治療が行えるようになりました。特に、入院ユニットでは、短期に目的を明確化した入院を行う欧米型の治療を遂行することを国内では初めて開始しました。児童思春期の入院では、従来育てる入院が行われ、長期に入院管理することが日本では多くみられました。こうした治療では、重症例には対応しますが、多くの軽症例には病棟システムが対応していませんでした。今日、発達障害では知的障害のない事例が増え、治療場面ではそうした軽症例において、診断、アセスメント、緊急対応、休養による家族調整などが求められています。そこで私たちの新しい治療システムを「マリアンナモデル」として運用し、わが国に児童思春期医療システムに新しいムーブメントを起こしたいと考えています。また、小児期の微弱な精神病症状に焦点を当て、短期入院でアセスメントして経過をフォローアップしていく、「マリアンナアセスメントパッケージ(MAP)」を運用しています。これにより、従来の診断プログラムにアセスメントによる治療機能を付加し、精神病の疾患化過程に影響を与えうるシステムへと進化させることを試みています。

研究面

 自閉スペクトラム症に対して、原初的な愛着形成をもたらす可能性を模索している動物型ロボット研究、デジタル耳栓による自閉スペクトラム症の感覚過敏者の生活改善を図るための治療研究、虐待症例の因子研究、MAP(マリアンナアセスメントパッケージ)による児童思春期の精神病症例への対応研究、諸外国の児童思春期医療システムの対比研究など幅広い研究が施行しています。

最近の研究文献

日本の外来患者における外在化障害の評価スケールの心理測定:ADHD評価スケール-5および破壊的行動障害評価スケール。

Psychometrics of rating scales for externalizing disorders in Japanese outpatients: The ADHD-Rating Scale-5 and the Disruptive Behavior Disorders Rating Scale.

Journal International journal of methods in psychiatric research. 2024 Mar;33(1);e2015. pii: e2015.Author Saeko Ishibashi, Takeshi Nishiyama, Takuya Makino, Futoshi Suzuki, Shoko Shimada, Shinji Tomari, Eiji Imanari, Takuma Higashi, Shintaro Fukumoto, Sawa Kurata, Yoshifumi Mizuno, Takeshi Morimoto, Hidetaka Nakamichi, Tomoko Iida, Kei Ohashi, Atsurou Yamada, Takuma Kimura, Yukiko Kuru, Satoshi Sumi, Yasuo Tanaka, Kazuya Ono, Hironobu Ichikawa, George J DuPaul, Hirotaka Kosaka